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オールモスト・パラダイス/松尾マアタ 【ショコラ】


〔2012/4/26〕


★★★☆☆

十年経ってもなお、穂村悠弥には忘れられない出会いがある。
中学三年の春、北海道の片田舎に美術教師の桐秋潤が赴任して
きた。派手な服にフランクな態度、風変わりな教師はすぐに穂
村の興味を引いた。放課後の美術準備室で彼に絵を習い、二人
きりの時間を過ごすうちに、穂村の心は桐秋に傾いていった。
そしてある日、穂村は桐秋をモデルに絵を描きたいと申し出る。
もっと一緒にいたいと願った恋心は、二人に思わぬ悲劇をもた
らし・・・。多彩な恋愛模様を描いた松尾マアタ作品集。

前作はレーベルがEDGEで、外国が舞台のややオサレ寄りの内
容だったので、今回はショコラでどういう感じなんだろうと思
っていましたが、ベーシックなBLらしいBLで来たので、おぉ
意外だなと。しかし何か前作も良かったですが、こちらはより
スッと入ってくる感じがして自分好みでした。

表題作は全3話。
中学三年の時、東京からやってきた美術教師・桐秋と仲良くな
り、放課後に絵を教えてもらっていた穂村。先生に薦められ、
絵画コンクールに出品する気満々だった穂村だったけれど、町
長の孫で優秀な生徒で受験生ということもあり、学校から先生
に注意がいき、一度は諦めようとする。しかしやってみたいと
いう穂村の熱意に押され、先生も自分の家に穂村を呼び、一週
間だけ集中して描くことを認めた。そんな中で次第に先生への
想いを自覚していく穂村。しかし塾をサボって先生の家に出入
りしていたことが母親に知られ、悪い噂が広まると同時に、先
生は町から姿を消してしまい・・・。

と、そんな過去の苦い経験を思い出した25歳の穂村が、偶然通
りがかった画廊で、桐秋先生の個展が開かれているのを見つけ、
再会し・・・という話。話としては、大体予測がつくので定番と言
えば定番なんですが、先生のキャラが個性的で可愛らしさがある
のが面白い空気でしたね。10年後の穂村も、少し抜けててヘタ
レっぽくて、あの穂村と大きく変わっていないところが可愛くて、
いい感じの二人でした。画廊を訪れた穂村の前に、あの絵が登場
した時には、先生の中の穂村少年への愛情が初めて表面に出てき
たようで、思わずグッと。モノクロの絵のはずなのに、ゴーギ
ャンのようにオレンジ色や緑や赤が見えた感覚で。
はてしかし、先生はこの10年間どんな生活(主に男性方面で)を
してきたんだろ〜というのが非常に気になるところですよね〜。

『Cafe Winterreise』
失恋し一人旅でドイツにやってきたユキは、1ヶ月間滞在するは
ずだった部屋に水漏れで入れず、ホテルを探し彷徨っていた。
そんな時見つけたカフェで、日本語の解る店主・サッシャと出会
ったユキは、ちょうど空いていた店の2階に運良く住まわせても
らえることに。サッシャと過ごすうちに失恋の傷も癒され、徐々
にサッシャに惹かれ始めていたユキ。しかしユキが店のオーナー
・マーカスと寝ているところを目撃してしまい・・・。
これも可愛くて良かったです。ユキがちょっと間抜けで本当に普
通の青年という感じで。最後もほっこりできていい読後感。

『Gold,Ash,Darkgreen』『夜空を見上げて待っていて』は、魔
法使いのマギと人間の姿になった狼・ウィンの話。前半はややフ
ァンタジー色が強めなので特に思うところもなかったですが、後
半でのウィンの可愛らしさは楽しかったです。

3つの話が収録されていましたが、どれも面白かったです。ちょ
っと弱っちい感じのする人物たちが何だか魅力的。表情がいいん
ですよね〜v まだ2冊目なんですね。もっと色んな話を読んでみ
たいお方です。


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